【知的障害と障害年金】認定基準や申請時のポイントを社労士がお伝えいたします!

知的障害と障害年金について

知的障害のある方は1,000人に4人と言われています。知的障害があると、日常生活のさまざまなシーンで支障が出てくることがあり、場合によっては、就労が困難になり経済的な不安を抱えてしまうこともあります。こうした場合に、障害年金を受け取ることができれば、ご自身やご家族の皆さまの経済的な安定だけではなく、精神的な支えにもなるかと思います。
知的障害は障害年金の対象です。知的障害で日常生活に支障のある方は、一度、障害年金の請求を検討されてみることをお勧めいたします。

障害年金とは?

障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」など、いくつかの要件を満たしていれば、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

知的障害とは?

知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳未満)にあらわれ、日常生活の中でさまざまな不自由が生じることをいいます。例えば、複雑な事柄やこみいった文章・会話の理解が不得手であったり、おつりのやりとりのような日常生活の中での計算が苦手だったりすることがあります。
また、障害のあらわれ方は個人差が大きく、少し話をしただけでは障害があることを感じさせない方もいます。しかし、自分のおかれている状況や抽象的な表現を理解することが苦手であったり、未経験の出来事や状況の急な変化への対応が困難であったりする方は多く、支援の仕方も一人ひとり異なります。

引用:『東京都福祉局ホームページ「ハートシティ東京」』

知的障害の障害認定基準について

知的障害の障害認定基準は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に以下のように記載されています。

障害の程度 障害の状態
1級 知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
2級 知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

※知的障害による障害年金は、基本的には障害基礎年金となるため障害の程度の3級の内容は省略しています。

  • 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
  • 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
  • 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

『日本年金機構ホームページ「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」より』

障害年金を請求する際のポイント

請求する際には、『精神の障害用』の診断書を使用します。
基本的には知的障害の初診日は出生日となります。その為、『保険料納付要件』は問われません。また、初診日の証明である『受診状況等証明書』も必要ありません。

症状を正しく把握しお医者さまとコミュニケーションをとる

ご相談者さまとお話をしていると、お医者さまとのコミュニケーションが十分に取れていないように感じることがよくあります。
障害年金を請求するときに使用する診断書には、日常生活の状況について記入する項目があり、障害年金を受け取ることができるかどうかを判断する項目の一つになっています。
診察の時には、病状についての会話のみになっていることが多いかも知れませんが、日ごろから、日常生活で困っていることや不自由に思っていることなどを、お医者さまにお伝えし、ご自身のおからだの状況をきちんと理解しておいていただくことが重要です。
実際、お医者様とのコミュニケーションがしっかりと取れている方は、比較的、障害年金の請求もスムーズに行なえているように感じます。

病歴・就労状況等申立書を正しく記入する

病歴・就労状況等申立書は、発症から現在までの病歴・通院歴・就労状況・日常生活の様子などを記入するものです。
表面には、時系列に3年から5年ごとに期間を区切って、発病したときから現在までの経過を記入し、裏面には、障害認定日と現在についての就労と日常生活の状況のほか、お持ちの障害者手帳などの情報を記入します。
受診状況等証明書や診断書と整合性がとれているかを確認しつつ、診断書だけでは審査する側に伝わらないご自身の日常生活の状況等についてのエピソードを交えて記入します。
なお、知的障害の場合、出生時から現在までの状況について、特に大きな変更があった場合を中心に1つの欄にまとめて記載することがきます。

当事務所へのご相談について

まずは、お電話かメールにてお問い合わせいただければと存じます。ご相談内容をお伺いさせていただき、アドバイスをさせていただきます。
ご希望の場合には、初回無料のご面談をさせていただいております。おからだの不自由な方には、ご自宅にお伺いしてのご面談もいたしております。

お一人で悩まず、当事務所にご相談ください

悩んでいることや困っていることを人に話すことで、気持ちが楽になると言われています。
障害年金について、悩んでいることや困っていることがございましたら、是非、当事務所にご相談ください。
当事務所はご相談者さまのお悩みやお困りごとが解決するまで、しっかりとサポートさせていただきます。皆さまの人生がより豊かなものになりますよう、お手伝いをさせていただきたく存じます。

最終更新日 4日 by 社会保険労務士 出口 芳和

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